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       商売のヒント

 
    早いもので年が明けてもう1月が終わろうとしています。この頃は、寒い中にも「3月半ばの陽気」などという日が少しずつ混じってきて春の足音がかすかに聞こえてきたように思います。その日その日の時間は若い時も今も変わらないはずですが、過ぎ去るスピードは加速度がかなりついてきたように思います。単なる感覚の問題といえばそれまでですが、このスピード感を落とす工夫を発見できたらかなり価値があると思います。以前、友人が雨の降りしきる高速道路で、前を走っていたトラックが突然スリップして左車線から右車線に流れてきて側壁にぶつかったそうです。友人は運よくトラックを避けて無事だったのですが、その時は時間が止まって見えたといいました。実際には約100キロで走っていたので止っているわけはありませんが、トラックが右に流れていくのがコマ送りのように止まって見えたそうです。また、先ごろ亡くなった打撃の神様川上哲治も球が止まって見えるといっていました。そのように瞬間、瞬間に非常な集中力をもって事に当たれば、時間は止まって見えるのかもしれませんが、そこは凡夫の悲しさで常日頃からというわけにはいかないようです。
    毎度のことながら、皆様の『商売』の分野については素人の私ですので未熟な私の哲学や思い込みもかなり含まれていくことになるとは思いますが、その時は御笑覧いただければ結構です。それでは第52回目を始めましょう。

          『相続税の増税』について

    来年2015年1月1日から、相続税が増税になります。国は改正としていますが実質は「改めて正す」ではなく「改めて増やす」です。新聞などでも、たまに取り上げられていますので大まかなところはご存知かもしれませんが、今回はその増税の内容を解説してみたいと思います。
    大まかな増税の内容は2つです。その一つは基礎控除の縮減であり、もう一つは税率のアップです。

Ⅰ.基礎控除の縮減
    相続税には、ある一定以上の財産を持っている方だけ課税をしようという思想が根底にあります。この考え方だけでも、法の下の平等という精神は生かされていないように思いますが、あまりこの点で争った方はいないようです。それはさておき、その一定額以上の財産を持っている方を選別するのが相続税の基礎控除ということになります。今年の12月31日までは、5000万円+1000万円×法定相続人の数というのが基礎控除額ということになっています。例えば、相続人が妻と子2人だったと仮定しますと、5000万円+1000万円×3人で8000万円が基礎控除額ということになります。この8000万円は財産の価格から借金の額を引いた残りの金額のことをいいますので、純財産が8000万円というと結構なお金持ちの部類に入るのかもしれません。
    そのような一定額以上の財産を持った方だけを対象としていた相続税ですが、基礎控除の見直しが図られ来年からは、3000万円+600万円×法定相続人の数ということになりました。
    先ほどの例ですと、3000万円+600万円×3人ということになり4800万円が基礎控除額ということになります。例えばマイホームが3000万円だとして、住宅ローンは通常、亡くなるとチャラになる団体信用生命保険という保険に加入されていると思いますので借金はゼロになります。そうすると自宅部分だけでも3000万円となり、生命保険や株、預金などで1800万円以上あれば申告の義務が生じることとなります。ただ、生命保険や死亡退職金は500万円×法定相続人の数まで非課税限度額というものが設けられていますので、例えば5000万円死亡保険金が入ったとしても、課税されるのは5000万円-500万円×法定相続人の数(3人)=3500万円ということになります。すでに定年退職されて退職金をもらっている方などは、この非課税限度額の適用はありませんから、預金の額がそのまま財産の金額に加算されてしまいます。団塊世代の方が定年退職を迎える今をまさに狙い撃っている感じがします。

相続税基礎控除の縮減のまとめ
    遺産に係る基礎控除
        ・平成26年12月31日まで
            定額控除    5,000万円
            法定相続人数比例控除    1,000万円×法定相続人の数
        ・平成27年1月1日から
            定額控除    3,000万円
            法定相続人数比例控除    600万円×法定相続人の数

Ⅱ.税率のアップ
    相続税の基礎控除額の縮減は、どちらかというと弱い者いじめみたいな感がありますが、税率のアップは明らかに強い者いじめとなっています。相続税の増税を考えるならすそ野を広げるより、税率をアップしたほうが簡単に増税の効果は上がるものと思います。所得税でもそうですが、上位1割の人が税収の半分以上を担っているわけですので、相続税も同様だと思います。今回の増税はすそ野を広げて、なおかつ超資産家クラスの税率を上げるかなりの負担を強いる増税となっています。

税率のアップ
    (税率構造)        (平成26年12月31日まで)    (平成27年1月1日から)
    1,000万円以下                    10%                            10%
    3,000万円以下                    15%                            15%
    5,000万円以下                    20%                            20%
    1億円以下                           30%                            30%
    3億円以下                           40%                            40%
    3億円超                               50%                             ー
    6億円以下                            ー                                50%
    6億円超                                ー                                55%

Ⅲ.相続税の計算の仕方
    基礎控除の縮減と税率のアップということをご説明してきましたが、ここで相続税の税金の基本的な計算方法をご紹介します。
    まず、例として次のような財産と債務があったとします。
①自宅(土地)    路線価で評価します。
②自宅(建物)    固定資産税評価額で評価します。
③預金    預金の金額そのままの評価となります。
④株式    亡くなった日とその月を含め3か月間の平均株価の最低額。
⑤賃貸物件(土地)    路線価の概ね8割で評価します。
⑥賃貸物件(建物)    固定資産税評価額の7割で評価します。
⑧生命保険金    保険金額から500万円×法定相続人の数を引きます。
⑦借入金    亡くなった日の残額を控除します。
⑧葬儀費用    かかった費用のうち香典返し部分を除いた残りが対象。

金額を仮にあてはめてみます。(妻と子供2人)
①自宅(土地)                                             3,000万円
②自宅(建物)                                             1,000万円
③預金                                                        1,000万円
④株式                                                           500万円
⑤賃貸物件(土地)                                      2,000万円
⑥賃貸物件(建物)                                         700万円
⑧生命保険金 4,000万円-500万円×3人=2,500万円
⑦借入金                                                 ▲2,000万円
⑧葬儀費用                                                 ▲300万円
合計                                                            8,400万円

となって現在の法律の基礎控除8,000万円を超えるため申告の義務があります。ただし、自宅の土地については一定の広さまで80%減額が認められるため、申告は必要ですが①の土地が20%評価となるため600万円の評価となり財産合計は6,000万円となって相続税はかかりません。
    ところが新しい税制になると、基礎控除が3,000万円+600万円×3人で4,800万円ですので6,000万円-4,800万円で1,200万円プラスが残ります。
    相続税の計算では、この残った1,200万円を妻と子供が法定相続分に応じて遺産を相続したと仮定します。妻の相続分は2分の1、子供は各々4分の1ですので、
    妻       1,200万円×1÷2=600万円
    子A    1,200万円×1÷4=300万円
    子B    1,200万円×1÷4=300万円
というようになります。

    この各人がもらった財産の金額に応じて先ほどの税率を各々かけていきます。
    妻        600万円×10%=60万円
    子A     300万円×10%=30万円        合計120万円の相続税
    子B     300万円×10%=30万円

    この120万円を相続税の総額といいます。この相続税の総額を各人が相続した財産の価額の割合に応じて振り分けます。
例えば妻が財産の8割、子が1割ずつ相続したとすると
    妻        120万円×80%=96万円
    子A     120万円×10%=12万円        各人が負担する相続税額
    子B     120万円×10%=12万円

    次に相続税には配偶者の税額軽減という制度があって、配偶者の法定相続分(この場合は2分の1)か1億6千万円までの財産に対応する相続税額のいずれか大きい金額まで税金がかからない仕組みとなっています。今回のケースでは妻の法定相続分に対応する金額は600万円でした。600万円と1,200万円の財産の80%の960万円(1億6千万円以下)と比べて大きい方ですので960万円に対する相続税額全額が免税となります。結果的に子2人の12万円×2人=24万円が支払うべき相続税となります。
    申告期限は亡くなった日から10月以内となっています。
    1月10日に亡くなった場合は11月10日が申告期限となっています。

    なるべく簡単にご説明したつもりですが、わからないところがありましたらお気軽にお尋ねください。
    ただ、今まで相続税がかからなかった方も、このように少額かもしれませんが納税の義務が生じてきます。
    前回お話しした連年贈与を繰り返すことによって、負担すべき相続税額が減ることは確実ですので、面倒がらずに実行されることをお勧めいたします。


                    end